デザイン業務の流れ
コンセプトワーク
企画チームからクルマの仕様や商品コンセプトが示されると、それをもとにデザインの初期検討が始まります。
お客様のライフスタイルや嗜好、トレンドなど様々なものを深掘りし、キーワードやキービジュアルなどでデザインの方向性を定めていきます。
海外市場がメインの車種の場合は、現地に滞在して実地調査を行います。
スケッチワーク
目指す方向性が決まったら、そのイメージを形にするためにエクステリア、インテリアのデザイナーがスケッチを描きます。
「魅力的なスタイリングか」「コンセプトがひと目で伝わるか」「お客様に訴求できるデザインか」など、あらゆる視点から議論や審査を行い、
納得のいくデザインができるまで、何枚もスケッチを重ねていきます。
CMFの検討
コンセプトワークで固めたイメージをさらに具体的な色や素材、表面処理に落とし込むことで、そのクルマの持つ世界観を表現していきます。
また検討を行ううえで、職種間の連携やサプライヤーとのコミュニケーションも重要です。
早い段階からCMFのイメージを共有することで、形とCMFの目指すものがピッタリとかみ合う魅力的なデザインを生み出すことができるからです。
このようにCMFデザイナーは、多岐にわたってコミュニケーションを重ねながら検討作業を進めていきます。
2Dから3Dへ
スケッチが数案に絞られたら、デジタルモデラーがそれらのイメージを3Dデータで構築し、スピーディに立体化します。
完成したデータはCGソフトを用いて色や質感、背景までリアルに再現し、ムービーやVRコンテンツを制作します。
また実物の量感などを確認するため、1/1サイズの簡易モデルも作ります。これらをもとに審査を行い、どの案を製品化に進めるかを決定します。
製品化に向けた形の作り込み
1案決定すると、CGデータをもとに製品化に向けた本格的な検討が始まります。
造形モデラーがクレイやCADを駆使して、全体のプロポーションから細部の部品端末にいたるまでモデリングしていきます。生産性・安全性などの要件と形の美しさとを両立するため検討を重ね、デザイン上どうしても譲れない部位については、商品企画部門や設計部門と交渉し落としどころを確認しながら進め、最終的に製品そのものの形になるまで丁寧に作り込んでいきます。
GUIの検討
クルマの内外装のハード部分のデザインと同時に、ソフト部分のデザイン開発も進めます。
GUIデザイナーは車載するスピードメーターやヘッドアップディスプレイ、ナビ等の表示情報や操作スイッチ類を、お客様が安全・安心に使えるようHMIの考察をし、魅力的なグラフィックに作り込みます。またクルマだけに留まらず、スマートフォン用アプリケーションのGUI開発や、次世代のHMI/GUIを目指すコックピットの先行デザイン開発なども行っています。
試作/品質評価
すべてのデザインデータがFIXし、その後設計部門の手で量産に向けたデータが組まれると、クルマの試作を作って品質の評価をします。
性能面の評価と同時に、デザインについても、細部まで意図通りに出来ているか確認し、問題を見つけたら他部門と共有して改良に向けた調整を行います。特に塗料や樹脂、表皮などは、微妙な違いで表情が大きく変わるうえ、安全性・耐久性などの厳しい品質基準をクリアしなければならないため、部品単位で幾度も試作を行い、チェックし改良していく過程が重要となります。
このように見た目と品質の両面をブラッシュアップして、最終的な製品へと仕上げていきます。