自己紹介 今の仕事内容と経歴
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加藤:
加藤
じゃあ、まず僕から。入社当時からずっとエクステリアデザイナーをしています。
学生時代は東京のデザイン学校でカーデザインの勉強をしていました。2007年に入社して最初の10年間は本社のエクステリアグループで勤務、2017年から2年間はスズキイタリア(トリノ)のデザインセンターで海外駐在、2019年に帰国して再び浜松で元の職場に戻り、量産車のエクステリアデザイン開発に関わっています。 -
伊藤:
伊藤
エクステリアのCMFデザイナーをしています。
スズキに入社したのは2015年。美術大学を卒業して、最初の配属は二輪のCMFデザインでした。2022年から四輪のCMFデザイナーになり、現在はクルマの外装に関わる開発を担当しています。経験は二輪のほうが長いですが、バイクもクルマも大好き。好きなことを仕事にでき、充実した日々を送っています。 -
山下:
山下
インテリア担当のモデラーをしています。
スズキには、加藤と同じく2007年に新卒で入社しました。プライベートでも親交があります。入社したときはエクステリア担当のモデラーとして業務に携わっていましたが、そこから異動して、今はインテリアのモデルとデータ作成を担当しています。
みんな、今日はよろしくお願いします。
スズキという会社の特徴 若い人たちのやる気を引き出す文化がある。
加藤:
一番難しい質問ですね(笑)。最初に思ったのは、個性が立った、面白いクルマを作る会社だということ。デザイン的な目線で言うと、同業他社と比べて、いい意味で表面的な統一ブランドデザイン表現というのがない。なので、お客様のライフスタイルに合わせて、最適なアウトプットが出せるのが特徴だと思っています。社内用語で「凸するデザイン」というのが、まさしくそれなんですが、不満点、問題点として穴が開いた場所を埋めてあげる、ただそれだけでは問題解決のみであって、乗る人にとってはまだ「期待通り」でしかないんです。更に魅力を盛って、お客様の満足値、期待値をデザインの力で超えていかないといけない。そういうことを心掛けている会社だと思います。
あと、今スズキでは若者のクルマ離れに対してどうアプローチするか試行錯誤をしています。そのときに大事なのって、僕よりも若いスタッフたちの意見や行動だと思うんです。当事者たちの声ですね。日常的に年齢関係なくコミュニケーションを取るようにしていますが、これは僕よりも上の世代から続いてきた習慣だと思います。僕自身も入社して数年のころは、出した企画に対して先輩や上司から「これ面白いよ!」「絶対にトライしたほうがいい!」と何度も声をかけてもらいました。もちろん本当にいいと思ってくれたものだけですが(笑)。若い人たちの気持ちを押し上げていく文化がある会社だと思います。
山下:
若い人たちの声を聞く、というのは僕も本当にそうだなと思います。新しいものを取り入れて挑戦していこう、という姿勢がある会社なので、役職が上になるほど若手の意見を求めているんですよね。ただ、製品としてきちんとしたものを出さないといけないので、その意見に傾倒すると言うよりかは、取りまとめ役の上司が本音を聞きつつ、スズキらしいクルマを作れるようにみんなを引っ張っていくという感じです。
伊藤:
私も同じ印象です。若手の声にしっかりと耳を傾けてくれる上司が多く、その社員の個性や能力が長い目で見て最大限発揮できるような環境を作ってくれる。そういったサポート体制の中で、自分の成長を感じた時、「見てくれているんだなあ」と実感して次のやる気に繋がっていくような、いい循環ができているように感じます。
山下:
そうそう。あとは、それを実現するスピードが早い。フットワークの軽い人が集まっている会社です。これもスズキの特徴ですね。
スズキのデザイン部門の強み
コストの制約を言い訳にしない。
「今の市場にないものを生み出すぞ」
という想いが強い。
加藤:
クルマづくりのことをもっと言うと、常に発想の転換が求められているのもスズキの特徴だと思います。2人はどう?
伊藤:
わかります。スズキの製品って手頃な価格でより良い商品を!をモットーにしているので、開発コストにも制約がありますよね。
加藤:
もしかすると1台あたりにかける金額は、他社より抑えめかも。でも決してコストの制約を言い訳にはしない。逆に制約があることを強みにして、どう新しい発想にポジティブに繋げられるか、そこからどう仕上げていくかが僕らの腕の見せどころだと思って仕事しています。
伊藤:
私は人に説明するとき「肉はないけどうまい肉じゃがをつくれ、みたいなオーダーが出て、めっちゃ悩んで知恵を絞った結果、すごいクリエイティブな肉じゃがをつくってきた会社だよ」と言っています。伝わるかな?(笑)
山下:
あー。僕はなんかわかるかも。四輪デザイン部のスローガンで、使える代は「0.1mmまで使い切る」という言葉があるんだけど、それも似たことを言っているよね。
加藤:
四輪デザイン部には「アイデアストック」という次のネタや面白いことを探すプロジェクトがあって、複数の拠点のデザイナーたち全員が参加するんです。これはまさに、新しいものを生もうとする行動が現れている行事かなと思います。今の市場にないものを出していこうという想いが強い会社ですね。
この仕事の面白さ、感動した瞬間
開発したクルマが街中を走っている。
これまでの苦労が一番報われます。
山下:
やっぱり自分が開発したクルマが実際の道路を走っている姿を見る瞬間が一番感動します。たぶん、スズキで働いている人は、みんな同じことを言うはず。苦労して開発したぶん「使ってくれてありがとうございます」と心から思うんです。
数年前に実家に帰省したとき、その地域で暮らしている方がスズキのクルマを運転していた姿を見たときもジンとしました。毎日出かけるときに使ってくれているんだろうなぁ、と。
加藤:
僕も自分が開発したクルマを見る瞬間が最高ですね。想定内の使われ方ももちろんうれしいし、最近だと想定外の使われ方もうれしい(笑)。「え!こんな感じで使ってくれてるの!?」とワクワクする発見があったりもします。
伊藤:
私も2人と同じで、自分が作ったものが実際に使われているのって最高にうれしいですよね。担当した機種と街中ですれ違ったことがあって。学生か社会人になりたてくらいの子たちが何人かで乗っていたんです。みんなすっごい良い笑顔をしていて。気持ちがグッと昂りました。
苦労した経験とそこから得たもの
1機種1チャレンジ。
試練はむしろ、おいしい出来事。
伊藤:
開発コストとの兼ね合いには毎回苦労しますよね。
いつも私は1機種1チャレンジすると決めて開発をするんですが、昔、気合を入れて開発していたネタがどうしても目標コストに収まらず、不採用になった時は、悔しくてトイレで泣きました。「これが実現できれば、もっと新しいモノが作れたのに!」って。でも泣いたあと、これはチャンスなんじゃないかと思ったんです。確かに悲しいけれど、これは発想の転換をするチャンスだぞと。さっきのアイデアを超える1000%のものを出してやるぞと。闘志が湧いていました(笑)。
その開発以降、試練はおいしいと感じるようになっています。「ピンチがキター!」と逆に燃えるようになり、最後までやり遂げるための原動力になりました。
山下:
やっぱりモデルがうまく作れないときが一番苦しいです。そもそもモデラーという職種が、一人前になるために10年はかかると言われている。そこに行き着くまでの時期って、自分で作りながら、自分でこれはよくないぞとダメ出しを続ける日々なんです。でも、その時期って今後の成長の糧になるものなので、避けては通れないんですよね。苦しい時期がしばらく続くけど、どうしたら上手くなれるのか自分で考えながら実践することでしか次に進めないんです。しかも少しずつしか上手くならない。僕はそうした時期に先輩たちからの励ましで、気持ちを盛り立ててもらいました。で、なんとか諦めずに今も続けていられるから、後輩たちにもそうでありたいです。
加藤:
僕も自分のやりたいことを貫き通したくなる時期がありました。でも上司から「これは君のためのデザインであって、お客様のためのデザインじゃないよ」と指摘されたりして。壁にぶつかって、間違いを認めて、そこから軌道修正して、そういった試練を乗り越えることでしか成長しないし報われないんだとわかりました。さっき山下も言っていましたが、スズキのデザイナーはみんながむしゃらさと自分自身を客観的に見ること、そんな自覚がある。だからこそ、若手の苦しい時期を支えるカルチャーがあるのだと思います。
デザイナー、モデラーとして挑戦していること
机でじっとしていても、いいものは生まれない。
外に出る。声を聞く。担当したモデルに乗ってみる。
感覚を常にアップデートさせる。
山下:
時間が経てば頭は固くなっていくもの、と考えているので、常に感覚をアップデートするようにしています。新しいものに触れるとか、いろんな方法があると思いますが、僕が一番タメになると思うのは、自分が開発に携わったクルマを実際に使ってみることです。「運転しているとここが気になるな」とか世に出して初めてわかることって結構たくさんあるんですよね。完成して満足しない。市場に出た瞬間から改良点を探して、積み上げて、次の開発に反映させる。市場調査とは別で、この経験を増やすべきだし、若手にも早いうちから実践してほしいと思います。
伊藤:
コロナ前は海外出張で、自社製品が使われる現場に赴く機会を多く頂きました。最近は海外に行ける機会が復活してきたので、すごくうれしいです。数年前は、アセアン機種の仕事も多く、様々な国に出張させて頂きました。
カンボジアを訪問した際は、スズキの製品が通勤通学等暮らしの中心でタフに使われている景色を目の当たりにしました。現地の方にデザインについて尋ねると、色やカタチに愛着を持って使い倒してくれていることがわかりとても感動しました。それから、もっと生の声を聞いて、「この人たちの力になりたい」「暮らしを豊かにするためのサポートがしたい」と、より強く思うようになりましたね。この経験から、スズキが乗り物を通して「世界中の暮らしを支えている」リアルを、肌で感じることができました。
加藤:
僕はこれからもスズキが提供する価値は変わらないと思っています。「これがあるから毎日が楽しい」「暮らしが良くなる」というクルマを出していくことが一番の使命じゃないかと。なのでスズキで働く僕たちは、今よりもっと面白いクルマを作って、お客様を笑顔にしていきたい。そのためには山下や伊藤と同じで、外に出て、自分なりにアンテナを張っていくことが必要だと考えています。机のうえにへばりついても、良いものは生まれないですからね。みんなの本音を捉えるために普段からコミュニケーションを活発にする。ものを選んだときに、なぜこれが良かったのかを日常的に考える。プライベートでは趣味に打ち込んで自分を磨く。リアリティのある提案をしていくために、自分も楽しみながら進化していかないといけないです。
スズキで活躍している人の特徴
行動力の塊で、
プライベートも超ユニーク。
加藤:
デザイナーは華やかな部分が強調される職種だけど、スズキのデザイナー、モデラーはちょっと違うかなと思います。まず、アスリートみたいな粘り強さと体力があるし、向上心のある人たちが多い。基本的に行動力があって、楽しみながら仕事に向き合っている人ばかりだからかなと思っています。
伊藤:
たしかに行動力ある人が多いですよね。じっとできない人ほど合っているし、そう言う人にチャンスが集まる会社だなと思います。あとは、人間的に誠実だけどシリアスすぎない、というのも共通しているかも。
山下:
うんうん。仕事だけの人っていない。休日の過ごし方とか聞いていると、面白い趣味がある人が多いです。それは浜松という場所も関係あると思っていて、ここは海も川も山もあって、スポーツもキャンプもできるけど田舎すぎない。ドライブもしやすいし、ストレスが少ない。だから、みんなのびのびしているのかなと。
夏のインターンシップでも同じことを感じます。ワークショップの中で若手にプライベートでの過ごし方をプレゼンしてもらうコーナーがあって、みんな見事に趣味がバラバラ。学生だとずっと好きな趣味がある子とか、ちょっと変わった趣味を持っている子が印象に残るし、入社を希望してくる可能性が高いね。ちなみに僕の趣味は模型づくり。時間を忘れて作業することも多くて「やっぱりものづくり好きだなー」と思うなぁ。
伊藤:
私はとにかく乗り物!クルマ2台とバイク2台を持っていて、その愛車達の為にガレージ付きの家を買いました(笑)。ここまで趣味を満喫できる環境があるのは、浜松ならではかもしれないですね。じっとしていられない性分なので、クルマは絶対にマニュアル派!この前、イタリアのクラシックカー乗りの上司と、ドライブがてらショップでマフラー交換して、海鮮丼を食べてきましたよ。
加藤:
僕はクルマも好きだし、音楽の道に進もうと思った時もあったくらい、昔から音楽も大好き。今もDJを定期的にやっています。ずーっとレコード集めをしていて、ついに部屋に入りきらないくらいの枚数になってしまったので、家を建てるか検討しているところです(笑)。浜松は音楽とも縁のある場所。色んな楽器メーカーがあって、近くに音楽好きな人がたくさんいるので、浜松にきてからそうした友達も増えました。
山下:
昔、同期でイベントしたときに、加藤がDJしてるの見たことあるよ。なんか大量の機材を持ってきてセッティングしてて。遠目で見たときに「音楽会社呼んだのか〜」と思って見てたら加藤でびっくりした記憶がある(笑)。
伊藤:
みんなプライベートが充実しすぎですね。
加藤:
上司とかを見ていると、そういう人の方がいろんな着眼点や面白い情報を持っているし、上手くデザインに昇華している人が多いよね。
若手に伝えたいスズキの良さ
新しい挑戦大歓迎。
本音を引き出して、成長を後押ししてくれる会社。
伊藤:
入社してからずっと、自分を高めてくれる場所だなと思っています。上手くできなくても最後には必ず上手くできている環境というか。最初のアイデアはパッとしないものでも、どうすれば良くなるのか、上司やチームメイトがちゃんと見て意見をくれる。だから最後には「形になったじゃん!」と思えるし「みんなとやれば必ず達成できる!」という心強さがあるんです。試練がおいしい、恐れなくていい、と思えるのはこの影響も大きいと思います。
あとは粘り強く続けていれば、大きなご褒美がちゃんと得られる会社だなとも感じます。すごく印象に残っている出来事で、イタリアのショーで担当機種が発表される機会があり、アンベールと共にGPライダーがそれに跨って登場するという、夢のようなシーンに立ち会うことができました。汗も涙も流しながら作ったものが目の前で輝いていて、本当に感激でした。この経験は一生忘れません。
加藤:
僕も似た意見で、挑戦のチャンスを与えてくれる場所だなと思います。トリノへの異動を叶えてくれたのが、まさにそうです。当時デザイナーとしてスキルを上げたいけど、どうしたらいいのか迷ってしまって。自分でも何か新しいことをしないと越えられないぞ、という感覚がありました。当時の上司に思い切って相談をしたら「トリノに行ってみるか?」と言ってくれたんです。
現地で仕事をしていると、相手がイタリア語しか喋れなくて、僕が英語と日本語しか喋れないという場面に稀に遭遇します。だからお互いカタコトの言葉とボディランゲージでやり取りをしていました。そういった言語や文化の違いにも悩むこともあったけれど、最後にはちゃんと量産に繋がる良いものを作ることができた。その頃には一緒に飲みに行く仲になっていて、コミュニケーションの面でも大きな修行になりました。
あとはミラノサローネやロンドン・デザイン・ウィークなど、世界的なデザインイベントに参加できる機会が多くて、デザイナーとして大事な時間を過ごせたと思います。
山下:
2人と共通していますが、本音を汲み取って、成長を後押ししてくれる会社だなと思います。僕はそこまで海外出張を希望していたわけではないんですが、上司から「絶対行ったほうがいいって!」と言われて2年目でロサンゼルス出張に行きました。その年次で海を超えさせる会社はそんなにないかもしれません。スズキの製品は海外でも使われているので、現地で見たシーンや、肌で感じた文化の違いは、今も製品を開発するうえでのインスピレーションになっています。
伊藤:
挑戦に恵まれた環境とユニークな人々と仕事ができ、常に自分の心が刺激されるのは本当にいいことだなと思います。学生時代も楽しかったけど、今はもっと楽しい。これから入社してくる人たちも、同じような日々を過ごしてほしいなと思います。
ーありがとうございました!